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Research

(Last update: 2021/04/01)

研究の大きな方針

 新しく魅力のある研究をして,より力強く・未来を紡ぐ社会貢献に繋がり,さらに一緒に取り組んだ学生さんが学んだことを生かせる分野にしていくために活動していきたい.そのために,技術の新しいトレンドを取り入れながらも,基礎的な理論・手法を大切にし,両者を融合させることで,交通研究・非定常時計画を発展させていきたいと考えています.
  研究の柱としては,これまでの研究の積み重ねを元に「計算レジリエンス移動情報学」と題して,取り組んでいきたいと思っています.具体的には,(1)データ駆動のアプローチによるsoftware2.0志向の交通需要シミュレータ構築,(2)非定常時の相互・動学的な意思決定を表現する行動選択モデルの構築を基とし,(3)非定常行動のシステムマネジメントを試みています.また,レジリエンス分野に限らず,自動運転網の都市圏・拠点計画やCV/CAVの相互挙動計算といった次世代交通システムの都市/地域での活用に向けた研究も進めていきたいと思います.

  

(1) Software2.0志向の交通需要シミュレータの研究・開発

 研究・開発・実用が次々と進む機械/深層学習アプローチにより,開発過程は,従来の人間がモデルを考えて適用するというプロセスから,集めたデータからモデルがフレキシブルに決定されるプロセス(software2.0)に変化したと言われています(参考).予測面では,非線形にデータに回帰する学習アプローチの優位性は高いですが,一方,データの取得範囲外であっても理論の活用によって説明可能になる現象も存在します.交通計画・制御分野では,大規模データを用いた解析や短期予測は進んでおりますが,まだまだsoftware2.0/データ駆動型の手法が有効活用されているとは言えません.
 このような背景の下,これまで開発してきた並列型統合シミュレータ(被災者の逐次的活動を再現する需要シミュレータ(SPACE)と非被災者の活動ツアーをサンプリングにより再現する需要シミュレータ(ASTRO)を同時に計算することで復旧期交通需要を再現 ※下図)を,software2.0志向に発展させ,データ駆動型のシミュレータ開発を行っています.
 交通シミュレータは,様々なコンポネントの集合であり,単純なサロゲイトモデルにより,結果に非線形にフィットさせることに意味はありませんので,観測データとユーザー類似性を考慮した準拠集団列挙,行動変容に伴う被サンプリング集合の遷移,深層学習の基礎技術(微分可能プログラミング)を用いたシミュレータパラメータの高速推定などを適用し,開発を進めています.

復旧期の交通需要シミュレータ シミュレータ計算結果:滞在人口分布(2016年熊本地震)

(2) 相互・動学的合意形成を反映した行動モデルの発展

 これまで,発展的行動モデルについての研究として,災害避難時を対象に,他者との紐帯形成過程の量子メカニズムを通じたモデル化*1,情報紐帯下の他者との相互作用を考慮した避難行動選択モデル*2,動学的不確実性を考慮した避難開始選択モデル*3の構築などを行っています.これらの研究では,行動モデルを発展させることで,非対称的な相互依存的な意思決定過程の表現,先読み避難のための将来リスク認知における時間的異質性の存在などを明らかにし,避難における意思決定に関する柔軟なモデル表現を可能としました.また,こうした研究で培った発展的行動モデルの開発・推定技術は,避難以外にもRide-Hailing Serviceのドライバーの短期的/中期的な意思決定メカニズムの解明*4に関する研究でも応用しています.
 相互・動学的な意思決定過程を表現した行動モデルは,情報不確実性の高い状況における意思決定過程の表現に適しています.不確実性の高い状況において,他者の行動選択をあてにした意思決定や,自分の将来の環境を慎重に想定した意思決定が行われやすいからです.これは,日常においても,時空間分解能の小さいミクロなスケールでの行動選択の表現のために,相互・動学的な意思決定モデルが有効であることを意味しています.ミクロな時空間スケールでは均衡的な状況は現れづらく,その場その場での意思決定が生じるからです.
 こうした相互・動学的な意思決定過程の実装にむけては,将来効用を考慮する際により有効なパラメータ推定アルゴリズムやシミュレーション再現における相互作用効果の計算方法などが必要となります.そこで,近似的計算や量子アニーリングといった計算アプローチを導入し,発展的な行動モデルについての研究・開発を進めています.

災害避難時の世帯間相互作用の時間推移イメージ(Urata & Hato(2021)) 時間異質性をもつ動的離散選択モデルのパラメータ推定過程

(3) 非定常行動に対するシステムマネジメント

(更新中)